相続コンサル事例(低額譲受けによる利益相当額についての贈与税の配偶者控除の適用)
2019/12/06
こんにちは、相続コンサルの脇坂です。今回は「低額譲受けによる利益相当額についての贈与税の配偶者控除の適用」についてお話します。被相続人の妻が夫から譲渡された本来ならばもっと高額であろう居住用不動産を安価に購入した場合に、配偶者控除の適用がどうなるかという問題です。
低額譲受けによる利益相当額についての贈与税の配偶者控除の適用
【照会要旨】
夫から妻に時価3,670万円の居住用不動産を2,670万円で譲渡しました(妻には、資力があり、売買代金支払いの事実が認められます。)。
これについて、妻は、低額譲受け部分の1,000万円について居住用不動産の贈与を受けたものとして贈与税の申告をすることとなります。
このような場合には、妻が贈与を受けたものとして課税対象となるのは、居住用不動産でなく、低額譲受けによる利益相当額であると考えられますが、実質的には1,000万円相当の居住用不動産の贈与を受けたものとして、配偶者控除の適用が認められますか。
【回答要旨】
照会意見のとおり贈与税の配偶者控除の特例を適用して差し支えありません。
【関係法令通達】
相続税法第21条の6第1項
今回の事例では低額譲受け部分の1,000万円について、居住用不動産の贈与を受けた事になり、贈与税の配偶者控除の対象になります。ご夫婦間で取り決めたご自宅の売買に関しては、結婚から20年超の場合に2,000万円の配偶者特別控除も適用されます。
夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
[平成31年4月1日現在法令等]
1 特例の概要
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。
2 特例を受けるための適用要件
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
(2) 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
(注)
- 1 「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋で国内にあるものをいいます。
- 2 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
3 適用を受けるための手続
次の書類を添付して、贈与税の申告をすることが必要です。
(1) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
(2) 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
(3) 居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの
金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類のほかに、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となります。
皆さんも様々な贈与のケースを想定して最善のプランを考えて下さいね。
サンワコーポレーション株式会社の脇坂亮作です。
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