抵当権消滅請求とは?不動産購入で知っておくべき注意点について解説
2024/11/04
目次
不動産を購入しようと考えている方へ、物件の情報を精査する中で「抵当権」という言葉を見かけたことはありませんか。
抵当権は、債務者が債務不履行に陥った際に、債権者が抵当不動産を売却して債権を回収できる権利のこと。
不動産購入においては、抵当権の存在は大きな影響を及ぼします。
今回は、不動産購入時に必ず知っておくべき「抵当権消滅請求」について解説していきます。
□抵当権消滅請求とは?
不動産を購入する際に、抵当権が設定されている物件に出くわすことがあります。
抵当権は、債務者が債務を履行できなくなった場合に、債権者が抵当不動産を売却して債権を回収できる権利のことです。
抵当権が設定されたまま不動産を購入した場合、所有権を取得したあなたは、抵当権者に対して抵当権の消滅を請求することができます。
これが「抵当権消滅請求」です。
1:第三者取得者保護
抵当権消滅請求は、第三者取得者保護の観点から生まれた制度です。
例えば、AさんがBさんからお金を借りて、自分の所有する不動産に抵当権を設定したとします。
その後、AさんがCさんにその不動産を売却した場合、Cさんは抵当権が設定されたまま不動産を取得することになります。
もし、Aさんが債務不履行に陥り、Bさんが抵当権を行使した場合、Cさんはせっかく購入した不動産を失ってしまう可能性があります。
これを防ぐために、抵当権消滅請求という制度が存在するのです。
2:抵当権消滅請求の仕組み
抵当権消滅請求は、所有権を取得した人が、抵当権者に「抵当権を消滅させてください」と請求する手続きです。
抵当権者は、この請求に対して、以下のいずれかの対応を取ることになります。
抵当権の消滅を承諾する
抵当権の消滅を拒否する
抵当権者が承諾した場合、抵当権は消滅し、あなたは安心して不動産を所有することができます。
一方、抵当権者が拒否した場合、あなたは訴訟を起こして抵当権の消滅を請求する必要があります。
3:抵当権消滅請求の手続き
抵当権消滅請求を行うには、まず、抵当権者に書面で請求する必要があります。
この書面には、以下の内容を記載する必要があります。
あなたの名前と住所
抵当権者の名前と住所
抵当不動産の住所
抵当権の消滅を請求する旨
書面を送付した後、抵当権者が2ヶ月以内に承諾しない場合は、みなし承諾となり、抵当権は消滅したものとみなされます。
4:抵当権消滅請求の注意点
抵当権消滅請求には、いくつか注意点があります。
抵当権消滅請求は、所有権を取得した人しか行うことができません。
抵当権消滅請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、行う必要があります。
抵当権消滅請求は、抵当権者が複数いる場合は、すべての抵当権者に対して行う必要があります。
□抵当権消滅請求ができないケース
抵当権消滅請求は、すべてのケースで認められるわけではありません。
1:債務者からの抵当権消滅請求
例えば、AさんがBさんからお金を借りて、Cさんの所有する不動産に抵当権を設定したとします。
その後、AさんがCさんからその不動産を購入した場合、AさんはBさんに対して抵当権の消滅を請求することはできません。
なぜなら、Aさんは、自分の債務を弁済する能力があるにもかかわらず、Cさんの不動産を購入したからです。
2:抵当権消滅請求の時期
抵当権消滅請求は、抵当権の実行としての競売による差押えの効力が発生する前に、行う必要があります。
もし、抵当権者がすでに抵当不動産を差押えている場合は、抵当権消滅請求は認められません。
3:みなし承諾
抵当権消滅請求は、抵当権者に書面で請求を行い、その書面を受け取ってから2ヶ月以内に競売の手続きを取らない場合は、みなし承諾となり、抵当権は消滅したものとみなされます。
しかし、抵当権者が競売の手続きを取らず、書面に何も応答しない場合でも、必ずしもみなし承諾が成立するわけではありません。
抵当権者は、書面を受け取った事実を証明する必要があります。
□まとめ
抵当権消滅請求は、不動産購入時に抵当権が設定されている場合に、所有権を取得した人が抵当権者に対して、抵当権の消滅を請求できる制度です。
抵当権消滅請求は、第三者取得者保護の観点から生まれた制度であり、所有権を取得した人が安心して不動産を所有できるようにするための重要な制度です。
抵当権消滅請求を行う際には、抵当権者の承諾を得る必要があるなど、いくつかの注意点があります。
不動産を購入する際には、抵当権の存在や抵当権消滅請求についてよく理解した上で、取引を進めることが大切です。
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