相続コンサル事例(特別夫婦年金保険に係る課税関係)
2019/09/26
皆さんこんにちは、相続コンサルの脇坂です。今回は「特別夫婦年金保険に係る課税関係」についてお話します。簡易保険は現在加入する事は出来ませんが、郵政民営化前に既に加入しているご夫婦も多い事から、相続関係がどうなるのかを聞きたい方も多いかと思います。
特別夫婦年金保険に係る課税関係
【照会要旨】
簡易保険の「特別夫婦年金保険」は、配偶者の一方の死亡後に年金の支払いが開始されるもので、その概要は次のとおりです。
(1) 夫婦のうちいずれか一方が保険契約者(主たる被保険者)となり、夫婦の他方が配偶者たる被保険者となる。
(2) 夫婦のうちいずれか一方が死亡した日から夫婦のうち生存している者に年金を支払う。ただし、年金支払開始年齢に達する日前に夫婦のいずれか一方が死亡した場合には、年金支払開始年齢に達した日から夫婦のうち生存している者に一定の期間(保証期間)中、年金を支払う。
(3) 年金受給者である生存配偶者が保証期間中に死亡した場合には、その者の相続人に継続年金が支払われる。
この保険に関する相続税及び贈与税の課税関係はどのようになりますか。
なお、保険契約者(主たる被保険者)はA、配偶者たる被保険者はBであり、保険料はAが全額負担しているものとします。
(注) 簡易保険は郵政民営化(平成19年10月)後は新たに加入することはできません。
【回答要旨】
1 年金支払開始年齢に達する前にAが死亡した場合
年金支払開始年齢に達する前にAが死亡した場合には、BがAから保険契約者の地位を承継します。すなわち、BがAから生命保険契約に関する権利(いわゆる本来の相続財産)を相続しますので相続税の課税対象となります。
なお、当該生命保険契約に関する権利については、財産評価基本通達214(生命保険契約に関する権利の評価)により評価します。
(注) 年金支払開始年齢に達する前にBが死亡した場合には、Bの死亡に係る相続税及び贈与税の課税関係は生じません。
2 A又はBに年金の支払いが開始した場合
(1) 年金支払開始年齢に達した後にAが死亡した場合(Bに年金が支払われた場合)
BはAから生命保険金を相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。なお、当該生命保険金については、相続税法第24条第4項の規定により評価します。
(2) Aが死亡した後に年金支払開始年齢に達した場合(Bに年金が支払われた場合)
相続税及び贈与税の課税関係は生じません(上記1でAの死亡時に課税済)。
(3) Aに年金が支払われた場合
相続税及び贈与税の課税関係は生じません。
3 年金受給者が保証期間中に死亡した場合(年金受給者の相続人に継続年金が支払われた場合)
(1) 上記2の(1)又は(2)のケースでBが死亡した場合
Aの支払った保険料はBが支払ったものとみなされ(相法3)、Bの相続人がBから保証期間付定期金に関する権利(相法3五)を相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。
なお、当該保証期間付定期金に関する権利については、相続税法第24条第1項第1号の規定により評価します。
(2) 上記2の(3)のケースでAが死亡した場合
Aの相続人がAから保証期間付定期金に関する権利(相法3五)を相続により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。
なお、当該保証期間付定期金に関する権利については、相続税法第24条第1項第1号の規定により評価します。
【関係法令通達】
相続税法第3条第1項第5号、第3条第2項、第24条第1項、第4項
相続税法基本通達3-36(1)
財産評価基本通達214
この保険は夫婦のうちいずれか一方が死亡した時から他の一方に対して年金を支払うものですが、その支払時期が年金支払開始年齢に達しているかいないか、夫婦のどちらが保険契約者かどうかによって、相続税の課税対象が変わってきます。今回のケースではAが保険契約者となっていますが、ケースバイケースで支払状況が変わりますので、具体的なご相談は弊社の担当アドバイザーまでお気軽にご相談下さいませ。
サンワコーポレーション株式会社の脇坂亮作です。
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